100年以上、本格焼酎を造り続けてきたという矜持。そして伝統に驕ることなく、飽くなき挑戦を続けた先に辿り着いた「長期貯蔵」「音楽仕込み」「樽貯蔵」という比類なき出自。田苑の金ラベルには、ロングセラーにふさわしいドラマがあります。伝統と革新の融合。他の麦焼酎とは一線を画す、金ラベルにしか出せない独自の味わいをお楽しみください。
田苑 金ラベル
DEN-EN Kinlabel
日本で愛され、世界に認められて。
樽で熟成することによって生まれる豊かな味わい、まろやかな口あたり。3年以上貯蔵した原酒が50%を超えて含まれる「長期貯蔵酒」の中でも、「田苑 金ラベル」は全量に樽貯蔵した原酒だけを使用。より芳醇な味と香りに仕上げています。ロングセラーとして日本のスピリッツファンに愛されるだけでなく、世界の品評会でも高い評価を受けています。
※オンラインショップでは取り扱いのない容器やサイズがございます。予めご了承ください。
鹿児島の田舎ではこんな酒を飲んでいるのか ――。今を遡ること60年以上前、地元自慢の本格焼酎がもつ独特の香りについて、修業先の東京で酷評された若き日の4代目、塚田定清。その時の言葉にできないほどの悔しさが、樽貯蔵研究の原点となりました。「今までにない、まったく新しい本格焼酎を造る」。塚田は、かたく心に誓ったのです。
まず頭に浮かんだのは、「ウイスキーも、ブランデーも、ワインも、世界を代表する酒が樽熟成によって賞賛される味を手にしている」という事実。さらに「焼酎で、それができないはずはない」という確信でした。こうして1956年、塚田は日本でまだ誰も成し遂げていなかった「樽貯蔵」による焼酎造りの研究をスタート。それは数十年におよぶ困難な道のりの始まりでした。塚田のその熱き信念に応えようと、蔵人たちが熟練の技術を結集。樽材にはウイスキー熟成に使われるのと同じホワイトオークを。オーク樽との最上の相性を求め、辿りついた原料は「麦」でした。
また、麹の育て方は?蒸留方法は?また貯蔵ではどの方法が最適か?など次々と立ちはだかる課題に対し、当時は「経験と勘」だけが頼りとされていた焼酎造りを、田苑酒造ではあらゆる角度から分析。科学的な視点からも根気強く研究を重ねました。 そして研究開始から26年、金ラベルの原点である日本初の樽貯蔵麦焼酎が誕生したのです。
田苑酒造では、現在約5,000本の樽を使って麦焼酎を貯蔵熟成しています。焼酎自体は樽に限らず、甕やホーロータンク、ステンレスタンクなど、どんな容器を使っても長く貯蔵すれば熟成するもの。しかし、貯蔵容器の影響をダイレクトに受けるのは樽。オークという木の成分と樽加工したことによる成分が、焼酎の中に溶け込み、熟成に作用していくのです。金ラベルの黄金色、カラメルやバニラを思わせる香り、深くまろやかな味わいは、オーク樽をゆりかごに熟成されたからこそ実現できるといえます。
麦焼酎は大麦を原料にした蒸留酒。田苑で使用している樽は、蒸留酒の代表格であるウイスキーと同じホワイトオークという木でできています。樽材として重宝される理由は、液体が漏れにくいことと、切り出した板が曲げやすいことが挙げられます。清酒や味噌の製造に使われる杉材の和樽と比べ、オーク樽はずんぐりと丸みをもたせた「ダブルアーチ構造」。左右対称の曲線を描いているため、転がして運ぶ際の操作性に優れています。ただし、大きなオーク樽では空でも約100sもの重さ。焼酎で満杯にすると600sにもなります。
田苑酒造が樽貯蔵に使うオーク樽は、宮崎県都農町の有明産業(株)の製樽工場で作られています。洋樽の製造販売では日本にこの1社しかなく、職人から職人へと匠の技やノウハウを継承し、樽作りの文化を守っています。1滴の焼酎も漏れることのない製樽の工程のほとんどは手作業。樽の表面をツヤツヤに磨き上げる一方で、内側を焼く焼煙加工では、噴き上がる炎にビクともせず樽を倒し転がす様子は、まさに匠のなせる技。この加工によって、オーク材の成分が引き出しやすくなり、麦焼酎の色や香味の熟成効果が高まります。
金ラベルの唯一無二の美味しさ。その背景には比類なき樽職人の魂と技が宿っているのです。
蔵に足を踏み入れた瞬間に聴こえる、ベートーヴェン交響曲第6番「田園」の調べ。それは今日も田苑酒造で「音楽仕込み」が行われている証です。
世界にも稀なこの技術が誕生したきっかけは、焼酎造りの現場に流したBGMでした。音楽を流し始めると間もなく、日々の焼酎造りのなかでわが子のように「もろみ」を見つめ続けていた蔵人たちが、スピーカーに近いタンクだけ一次仕込みの日数が早まることを確認。「もろみ」に起きたわずかな変化を見逃さなかったことで、「音楽の刺激が発酵を促す」という事実が田苑酒造で発見されたのです。
その後さまざまな試行の結果、音楽の信号を振動に変換して焼酎に伝えるトランスデューサと呼ばれる特殊なスピーカーを、1991年12月より独自に導入。現在では一次仕込みと貯蔵、それぞれの現場に1,112個も のトランスデューサを設置、音楽の刺激によって「もろみ」の発酵を促し、貯蔵では熟成効果を向上させています。リズムやメロディーによってひとの気持ちが昂揚したり癒されたりするように、金ラベルもまた、その成長段階で上質なクラシック音楽を子守唄に聴くことで、「品格」という今までにない個性を手に入れているのです。
歳月を重ねることで、焼酎の中から最上の熟成味を引き出していく「長期貯蔵」。
そこには時間だけが創りだすロマンがあります。あらゆる手間を惜しまずに仕込み、樽で眠らせ、長年にわたって成長を見守り続けるその酒造りは、まるで大切なわが子を育てるようなもの。
田苑酒造では製麹(せいきく)から原料選び、蒸留、樽の材質やサイズ、焼き加減にいたるまで、すべてに「焼酎の育て親」としての自らのこだわりを貫いています。長期貯蔵酒ならではのまろやかさを引きたてるため「米麹」で仕込み、さらに蒸留時には大小さまざまな蒸留器の中から特に銅製の蒸留器を選んで使用。本格焼酎の個性を残しつつ、どこまでも「きれいな味」へと仕上げています。やがて彼らは、人知のおよばない樽の中での歳月を経ることで、ひと樽ごとに異なる香り、味わい、色を手に入れ、長い眠りから目覚めます。
こうして生まれた原酒の個性を最大限に活かし、金ラベル独特の美味しさを高めるのが、 熟練ブレンダーの仕事。時には10年貯蔵の原酒を使うほどのこだわりで、田苑酒造だけの長期貯蔵酒のクオリティを守り続けています。
それは3年以上の時間をかけ熟成させた原酒を、50%を超えて含む、贅沢な焼酎のこと。貯蔵を行うことで焼酎の味わいからは刺激が減り、風味が良くなり、舌に感じる丸味も増していきます。美しい金色の輝きもまた、焼酎が樽の中でゆっくりと月日を過ごした証です。
主原料となる麦は、ウイスキーにも使われる一粒一粒が豊満ででんぷん質が多い二条大麦。そして、田苑酒造の焼酎に共通するまろやかな味わいは、薩摩川内市樋脇町のシラス層を通り、不純物がろ過されて弱アルカリ性となった天然水によるものです。金ラベルを味わうこと、それは大自然という名の素材を味わうこと。上品かつ穏やかな香り、伸びやかに余韻を残す心地良い麦の甘みを愉しめます。ロックはもちろん、水割りで、お湯割りで、あるいはソーダ割りでも堪能でき、どんな料理とも好相性です。